革靴を個人輸入してはいけない三つの理由

【理由1】革靴は関税が高すぎて個人輸入のメリットをいかせない

まずは履物に関する「税関 主な商品の関税率の目安」をごらんください。税率30パーセントとなっていますが、簡易税率で優遇されている個人輸入としてはとても高額だと言えます。

甲が革製又は甲の一部に革を使用したもの(64類)
税率:30%又は4,300円/足のうちいずれか高い税率

これは靴のアッパー部に本革が使われているかどうかで税率が判断されるのですが、実際にはヒールやアウトソールにどういった素材が使われているかも判断基準とされています。

また合成皮革であっても、税関からどのような素材なのか証明するように求められた場合は、それに従わないといけません。この場合メーカーが作成した仕様書かサイトの商品スペックを伝えるのですが、どのように判断されるかは分かりません。

それからハイヒールやサンダルの一部に装飾品として本革が使われている場合も、革靴と判断される場合があります。そして革靴と判断された場合は、最低でも4,300円の関税が発生します。これはイーベイから中古品を数ドルで落札した場合も同じ関税が発生します。

ではスポーツシューズの場合はどうなるかというと、税関に申告する際にアッパー部はナイロン、ソールはゴムまたはウレタンとして申告します。これで4,300円の関税は避けることができますが、スポーツ用品として関税がゼロになるわけではありません。過去に取り扱ったケースでは商品価格の8%から15%くらいでした。

外国で販売されているシューズ類は、とても安いので輸入代行を依頼される方が大勢いました。ご依頼にあたっては、日本向け送料、代行手数料そして履物類の関税がこれくらいかかりますよと伝えると、たいていの方は日本国内で購入するという判断をされていました。

それから輸入代行業者の中には、この革靴の関税の部分をあいまいにして対応を進めるケースもありますので注意が必要です。

【理由2】フィッティングが難しい

このサイトでも靴サイズの換算表を載せています。しかしメーカーによっても靴の種類によってもフィット感は異なります。必ずしも業界全体で標準化がしっかり行われているわけではありません。

ナイキのシューズでもモデルが違えばフィッティングも変わってきます。過去にあった困ったケースでは、「通常の指定サイズに1.5足してください」と表記された商品もありました。自分のランニングシューズのサイズが9だからと、そのまま注文するとせまくて履けません。

それからスポーツシューズがサイズ8だからと言っても、ビジネスシューズやパンプスがサイズ8とは限りません。欧米の靴は日本に比べて横幅が少し狭く作られています。靴紐があればある程度調整することもできるかもしれません。しかしパンプスやハイヒールは無理です。ロングブーツのサイズ選びはもっと難しくなります。

そもそも靴のフィッティングは、日本国内の通販でも難しいものがあります。もし正確なサイズを把握したい場合は、例えば自分の買いたい靴のブランド店か代理店にでかけていって、実際に履いてみることです。でもそこまでしたらその店で買うほうが賢明です。

【理由3】返品費用が負担になり税金も戻ってこない

もしサイズが合わなかった場合、国内であれば返品や交換は容易にできます。店によっては返品送料が発生しない場合もあります。しかし個人輸入の場合は、海外にある販売元への返品送料は自己負担です。また交換商品を受け取るための送料も別途に必要になります。

アメリカの販売店でも、返品と交換を無料でやってくれるところはありますが、それは自国内のみの対応です。海外で受け取った商品はその対象にはなりません。

なお商品の返品は、国際郵便を使って販売元の指定する住所に発送します。そして販売元が商品を受け取ったのちに、クレジットカードへ払い戻しされます。もし代行業者を通して輸入した場合は、連絡をとって販売元に返すのか、代行業者に返すのか確認が必要です。代行業者に返品する場合は、代行業者から販売元までの送料も発生しますので注意が必要です。

そして個人輸入した商品に発生した税金は税関に納めたものですから、たとえ返品したとしても税関から払い戻しされることはありません。革靴の場合だと4,300円の関税が戻ってくることはありません。

輸入した靴のサイズがやっぱり合わなかった場合は

輸入代行業を運営していたときにご依頼の多かった靴は、レッドウイング、コールハーン、コーチ、UGG、他にハイキングシューズ、スノーボードシューズ、バレエシューズ、スケートシューズでした。

これらは確かに日本の国内価格より安く販売されていました。その際は、もし日本で購入できるところがあれば、そちらを紹介した上で「個人輸入するとしたら総額でこれくらい、個人輸入のほうが少し安いですが、返品が困難、関税が負担になりますよ」と日本でお買い求めになることをおすすめしていました。

もし日本で入手できない靴があった場合でも、サイズが合わない可能性と返品も交換も困難であることに同意していただいていました。しかし例えリスクを理解したとしても、サイズが合わない、色やデザインがやっぱり気に入らないという事があるかもしれません。

その際は、返品せずにオークションに出品することをおすすめします。このとき、サイズが合わなかったので出品していること、私のサイズは24センチですがこの靴は自分にはきつかったので、23.5センチの方にフィットします、と伝えればよいでしょう。

もちろん商品全額の回収は無理ですが、海外に返品するよりは損失を少なくすることが可能かもしれません。以上のようなリスクがあるので靴の個人輸入は、あまりおすすめできません。