パサデナの「チョーク・フェスティバル」は過酷なアートイベントだった!
ホコ天お絵描きイベントじゃないチョーク祭り
パサデナ市で毎年「チョーク・フェスティバル」というのが開催されていると知って出かけてきた。地面にチョークで絵を描くイベントらしい。なんて楽しそうなイベントだろう。しかし私はその会場に着いてすぐに自分が大きな勘違いをしていることに気がついた。
「地面にチョーク」と言えば、思い出すのは歩行者天国である。好き勝手にイラストやマンガなんかを書くあのイベントだ。だから私も飛び入りで参加させてもらって、何か描いてみようと思っていた。しかし好き勝手どころか、もっと高度でアートなイベントだったのだ。
もちろん誰でも参加できるし、実際に子供や家族連れで参加しているグループもある。しかしプロのアーティストも多く参加している。それから地面だからといって好き勝手な所には書けない。きちんと区画整理されていて、サイズや場所が事前に割り当てられている。だから歩行者天国のチョークイベントとはまったく別物なのだ。これはもうチョークアート・コンテストといってもよいだろう。
参加者が絵を描けるのは週末の二日間だけである。私は土曜日の昼頃に出かけたのでまだ描き始めて間もない感じだった。およそ絵が出来上がるのは日曜日の夕方あたりになる。だからこのイベントが盛り上がるのは日曜の午後からだ。
参加している人は思いつきで描いている人もいれば、型紙を準備してアニメのセルのように書いている人もいる。でもほとんどの参加者はグラフのように線を引いた元絵を手にして、それと同じ比率で拡大したラインを地面に引いている。だから大きな看板や壁画を描く作業とほとんど変わらない。
ちなみに「チョーク」となっているが、チョークは発色が悪くてカラーバリエーションが少ないので、参加者のほとんどはパステルを使っていた。それに画用紙と違ってコンクリートだから消費する量がものすごい。そしてあの大きな絵を小さなパステル片でゴシゴシと仕上げていくので大変な労力だと思う。
家族で参加している人は休みながら交代で描いている様子だった。一人で描いている人はランチボックスと飲み物を横に作業していた。途中でバテてしまって昼寝をしている人もいる。みなさんそれぞれのペースでやっているようだ。きっと二日間の努力は、どんな絵が仕上がっても見ている人に感動を与えるだろう。
今回、日本人の参加者に出会った。常連さんらしい。躍動的にモノクロームのテイラースウィフトを描いていた方、笑顔で楽しそうにジョンレノンを描いていた方。そして後で知ったが、今回のフェスティバルでみごと一位に選ばれたMOEさんというい方。
http://www.pasadenachalkfestival.com/winners.html
仕上がった絵もすばらしいが、周りに目もくれず黙々と描いていたのがとても印象的だった。
写真と動画の撮影は二日間で全体を網羅したつもりだったが、実際はもっと広くて見ていない場所があると知って驚いた。それでもメインのパセオ・コロラド広場あたりの雰囲気が伝わってくれれば嬉しいと思っている。そして迷路のような広場を何度も廻っているうちに、参加者の絵が少しづつ仕上がっていくのは見ていてとても楽しかった。もちろん来年も「見るだけの人」で参加したい。