画像生成AI「Animonを使ってみた」求められるのはのび太的な発想なのかもしれない

ときどき「高校三年生に戻れるならどう生きるか」とゲーム感覚で思考することがある。もちろん過去に戻れないことは分かっているので、どちらかと言えば現在の自分の行動や考え方を整理するためにやっている。

三年ほど前から絵を描き始めた。小学生のころは図画工作が大好きで、その授業がある前の晩はよく眠れなくて困ったほどだった。中学高校でも別に誰かに言われるまでもなくときどき絵を描いていたが、社会人になってからは次第に描かなくなった。

さて「高校三年に戻れるならどう生きるか」と自問すると、たぶん私は大学には進まない。それから就職もしないだろう。昔は許されなかったが、今ならアルバイトをしながら日本中を旅しても非難されることはない。実際そういう若者が何人もいて心から応援したくなる。しかし、二年ほど旅を続ければ、間違いなく、これをずっと続けるのは無理だと気がつくはずだ。そこからまた行動すればよい。人生にはそれくらいのゆとりがあってもいい。

絵を描くことが好きだったから、また描いてみようかと始めた絵だった。それで高校三年生に戻れたとして、イラストレーターになるための専門学校にでも行くのかというとそうでもないことにすぐに気がつく。

なぜなら、SNSで見かけるAIで生成された絵があまりにも独創的ですっかり魅了されてしまった。自分でも尻が軽いと思ったのだが、さっそくAnimonのアカウントを作った。

これがあまりにも楽しくて、ついつい時間を忘れて気がつけば四時間連続で没頭していた。

https://share.animon.ai/3BeFQQ3

そうそう、高校三年生の話しをしていたんだっだ。「ちょっと待てよ、今どきどうやってイラストレーターになるんだろう」と疑問が湧いてきて、調べてみたら、もうすでにこの業界はAIに侵食されている。

というわけで、Geminiに聞いてみた。

「高校3年生です。専門学校に行って将来はイラストレーターになりたいと思っています。でもAIが生成したイラストを見ていると人が描いた絵より独創的で魅力的です。私がイラストレーターになる意味ってあるんですか?慰めや曖昧な回答はいりません。辛口で私に現実を教えてください」

瞬時に回答が返ってきた。

承知いたしました。高校3年生のあなたが抱いている、AIイラストの台頭に対する現実的な懸念について、率直にお話しします。

まず結論から言うと、AIが進化し続ける未来において、「ただ絵が描けるだけのイラストレーター」の需要は確実に減少します。

以下にその理由と、あなたが直面する現実を具体的に説明します。

AIイラストがもたらす現実

  1. 「独創性」と「魅力」の概念の変化: あなたが感じている通り、AIは膨大なデータを学習することで、人間には思いつかないような構図、色彩、表現を生み出すことができます。これにより、「人間が時間をかけて生み出す独創性」の価値が相対的に低下しています。AIは短時間で多様なバリエーションを生成でき、クライアントの要望に迅速に応えることができます。

  2. コストとスピードの競争力: AIは人件費がかからず、ほぼ瞬時に画像を生成できます。企業や個人がイラストを必要とする際、AIを使えば安価かつ迅速にイメージ通りのものを手に入れられるため、人間への依頼は「AIでは代替できない価値」がなければ選ばれなくなります。

  3. 技術進歩の加速度: AIの進化は驚くべき速度で進んでいます。今日不可能に見えることも、数ヶ月後、数年後には可能になっている可能性があります。あなたが専門学校で学ぶ技術が、卒業する頃には陳腐化している可能性すらあります。

  4. 「絵を描くこと」自体のコモディティ化: かつて絵を描くスキルは特別なものでしたが、AIの登場により、絵を描くこと自体が非常に安価に、そして簡単に手に入るものになりつつあります。これは、写真が登場した際に「肖像画を描く画家」の需要が激減したのと同様の現象です。

「イラストレーターになる意味」を問われた場合の現実

あなたがイラストレーターになる意味は、「AIには代替できない、人間ならではの価値」を提供できるかどうかにかかっています。

慰めではなく現実を突きつけるならば、「AIより上手く描ける」とか「AIより独創的だ」という競争軸では、将来的にAIに勝つことは極めて困難です。

では、どのような価値であれば生き残れる可能性があるのか。

  • ディレクション能力とコミュニケーション能力: クライアントの漠然としたイメージを具体化し、AIを適切に操作してそれを形にする能力。AIが生成したものをただ出すだけでなく、クライアントの意図を汲み取り、修正指示を的確に出し、最終的なアウトプットの質を高めることができるディレクターとしてのスキル。
  • ブランディングとコンセプトメイキング: 特定の企業やブランドの世界観を理解し、そのためにどのようなイラストが必要か、AIをどう活用すれば効果的かを企画・提案できる能力。単なる絵の提供ではなく、そのイラストが持つ意味やメッセージ性までを設計する力。
  • 特定の分野における深い知識と専門性: 例えば医療分野のイラスト、科学的な図解、特定の文化圏に特化した表現など、AIが学習しきれていないニッチな分野や、専門知識が不可欠な領域でのイラスト。
  • 「人」としての魅力とストーリー: ファンが「この人が描く絵だから好き」と感じるような、イラストレーター自身の個性、哲学、生き様が作品に投影されているケース。SNSでの発信力やコミュニティ形成能力も重要になります。これはAIには持ち得ない、人間ならではの強みです。
  • AIを使いこなす能力: AIを敵視するのではなく、AIを道具として使いこなすスキル。AIが生成したイラストを元に、さらに人間が手を加えて唯一無二の作品に昇華させる、あるいはAIを効率的な制作ツールとして活用する能力。

あなたが今考えるべきこと

専門学校に進むことは、絵を描く技術を磨く上で有効な選択肢の一つです。しかし、それ以上に重要なのは、**「将来、自分はイラストを通じてどのような価値を提供したいのか」**を徹底的に考えることです。

  • **「絵を描くのが好きだから」**だけで進むのは非常に危険です。その好きが、将来の食い扶持に直結するとは限りません。
  • AIの進化を現実として受け入れ、それを自分のキャリアにどう組み込むかを考えるべきです。AIとの共存、あるいはAIをどう使いこなすか、という視点が不可欠です。
  • 専門学校のカリキュラムが、**AI時代に生き残れるスキル(企画力、ディレクション力、コミュニケーション力、ITリテラシーなど)**をどこまで教えてくれるのか、事前にしっかり確認することをお勧めします。

あなたがイラストレーターになる「意味」は、AIが台頭するこの時代に、あなたが**「AIにはできない、あなたにしか提供できない独自の価値」**を見つけ、それを磨き上げることによってのみ生まれます。

厳しい現実ですが、これを乗り越え、自分なりの道を見つける覚悟があるならば、あなたの挑戦は無駄ではありません。中途半端な覚悟では、時間とお金を無駄にする可能性が高いでしょう。

これは慰めでも曖昧な回答でもありません。これが、現時点での「イラストレーターを目指すこと」に対する厳然たる現実です。

AIさんって、意外と真摯に回答してくれるんだね。

これを一行でまとめると、「専門学校に行っても無駄だからやめとけ、AIには勝てんよ、だからAIを使いこなす側にまわれ」ってことらしい。

なんて無慈悲な時代になったんだろう。それでも納得している。では絶望的なのかと言えば、そうではない気がする。たぶんドラえもんで言えば、妙な道具の使い方をするのび太になれってことではないだろうか。

さて、私が現代の高校三年生だとしたら、意外と悲観することもなく、このAIをどうやって使いこなそうかとワクワクしながら旅に出ていることだろう。