【新型コロナウィルス外出自粛中に読みたい引き篭もり術】自作の小屋で暮らそう-Bライフの愉しみ

「Bライフ」聞きなれない言葉である。これは、ある哲学青年が始めたシンプルで決して無理をしない生き方の記録である。

そのBライフが何かと言うと、お金も労力もかけず、誰からも干渉されない空間を確保して、自由気ままに生活するスタイルである。まるで夢のような話だが、だれにでも今すぐ手に届くところにある。

彼は、山深いまわりに誰もいない土地でひっそりとBライフを満喫している。なんてずるい、いや賢いやりかただろうか。

Bライフの定義づけは、必ずしも小屋暮らしというわけではないが、ネットで調べてみたらこの界隈では有名な人らしくて、彼にあこがれて同じような小屋を建てて生活している人たちが何人もいる。

しかし「山暮らし+小屋」にこだわらなくてもいい。街中に狭い土地を見つけてテントを張るとか、コンテナをおいたり、あるいは軽トラで車中泊みたいな生き方でもかまわないらしい。

私達は、学校を卒業して社会人となり、結婚していつかはマイホームを手に入れるだろう。家を買うためにある程度の頭金を用意してローンを組む。そこから先はローンを返済するために身動きの取れない人生が待っているのだ。たとえ定年前に完済したとしても、もうその家には不動産としての価値はそれほど残っていない。

彼の生き方をみていると、私達が追いかけている幸せが本当の幸せなのだろうかとつい考え込んでしまう。一方で彼はそのBライフに満足しているのだろうかとも思う。もしかしたら満足とか不満とかの基準ではなく、そういう生き方に疑問を持つ事もないのだろう。

小屋の広さは六畳くらい。電気も水もガスもない。お風呂どころかシャワーだってない。とうぜん水洗トイレもない。食材の買い物は、ふもとの町まで小さなバイクに乗ってでかける。仕事はアルバイトくらいだろうか。生活費は月に二万円らしいから、街にでかけて日雇いの仕事を一週間もやれば十分だ。

そんな暮らし方は、ベーシックインカムとの親和性もよさそうだ。それだとアルバイトさえもしなくていい。小屋に住んでいる限り生活に困ることはなさそうだし、二万円の生活費を維持していけば貯金だってできる。

読み進んでいると、そんなライフスタイルを拒否している自分と、一方で誘惑に負けてしまいそうな自分がいることに驚く。なぜなら彼は自由なのである。自由に生きるための知恵を生み出しているのだ。その完璧なまでの自由を手に入れようと思えば、誰でも手に届くところにある。あとは選択の問題でしかない。

そういえば、新型コロナウィルスの影響でほぼ自宅にこもっている。朝起きて寝るまで、労働といわれるようなことは何もしていない。ネットでニュースや動画をみたり、本を読んだり、ちょっとした家の修理をしたり、毎日ゆっくり料理を作ってぼんやり食べている。そして寝たいとき寝る。何のことはない。Bライフを実践しているのだった。

そんな暮らし方が意外と退屈でも苦痛でもなくて、そう自由なのだ。さらに家でごろごろしながら世界平和に貢献できるなんて夢のような生き方である。この本を緊急事態宣言中に読んでしまったのは間違いであったかもしれない。期間限定のBライフを少し残念に思っている。


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わいわいLA